特定技能制度は、受入れ後の運用こそが実務の本番です。
2025年4月から届出ルールが変わり、さらに2026年4月にはオンライン定期届出に関する案内や解説動画も公開されました。今後は「採用できたら終わり」ではなく、届出・面談・支援実施の管理をどう回すかが、受入企業・登録支援機関にとってますます重要になります。
今回は、特定技能制度の届出ルールについて、実務で特に影響の大きいポイントを整理します。
まず押さえたい結論
2025年4月以降、特定技能制度では随時届出の対象や様式が見直され、定期届出は四半期ごとから年1回へ変更されました。もっとも、定期届出の提出頻度が年1回に変わっても、定期面談は従前どおり3か月に1回以上必要です。ここを混同すると、実務上のミスにつながります。
また、出入国在留管理庁は2026年4月に、オンライン定期届出や電子届出システムの事前登録解説動画、定期届出の解説動画を公開しており、届出運用の電子化・標準化が進んでいます。
1. 2025年4月から何が変わったのか
出入国在留管理庁は、2025年4月1日から、特定技能制度における各種届出の届出項目や届出頻度の変更を内容とする省令施行に伴い、制度運用が一部変更されると案内しています。
実務上の影響が大きいのは、次の3点です。
(1)随時届出の対象が広がった
たとえば、在留資格の許可を受けてから1か月経過しても就労を開始していない場合や、雇用後に1か月活動できない事情が生じた場合も、届出対象になります。従来の感覚のまま「まだ様子見でよい」と判断すると危険です。
(2)基準不適合に関する届出の考え方が変わった
届出対象は、「出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為」があった場合から、特定技能基準省令に適合しない場合へと見直されました。税金や社会保険料等の滞納、非自発的離職の発生、関係法令違反なども、実務上の注意点として明示されています。
(3)支援実施困難に関する届出・報告が新設された
自社支援の場合には、1号特定技能外国人支援計画に基づく支援の実施が困難となったときに届出が必要となります。登録支援機関が支援の全部委託を受けている場合にも、支援実施困難や特異事案について報告が必要になる場面があります。
2. 定期届出は「年1回」になったが、気を抜いてはいけない
制度改正後、定期届出は四半期ごとから年1回へ変更されました。対象年の4月1日から翌年3月31日までの受入れ・活動・支援実施状況を、翌年4月1日から5月31日までに提出する仕組みです。最初の新ルールによる提出は、2026年4月以降とされています。
この変更は、表面的には「届出負担が軽くなった」と見えます。
しかし、実務ではむしろ逆で、1年分の情報を後からまとめて整えるのは危険です。
なぜなら、新しい定期届出では、労働日数、労働時間数、給与の支給総額、昇給率などを届出書本体や別紙で整理する必要があり、さらに登記事項証明書、決算関係書類、役員の住民票写し、公的義務の履行証明書など、添付書類の管理も重要になるからです。
つまり、提出頻度は減っても、日常管理の精度がより重要になったと考えるべきです。
3. 「定期届出が年1回=面談も年1回」ではない
ここは誤解が起きやすいポイントです。
出入国在留管理庁は、定期的な面談については従前どおり3か月に1回以上行う必要があると明記しています。
つまり、制度改正後も、受入企業や登録支援機関は
- 面談実施
- 支援実施記録の整理
- 労働・生活状況の把握
- 問題発生時の随時届出対応
を継続しなければなりません。
届出頻度だけを見て「運用が軽くなった」と考えると、後で一気に苦しくなります。これは、特定技能実務でよくある落とし穴です。
4. 2026年4月時点で確認しておきたいこと
出入国在留管理庁の特定技能制度ページでは、2026年4月以降も更新が続いており、2026年4月28日にはオンライン定期届出、電子届出システムの事前登録解説動画、定期届出の解説動画が公開されています。また、2026年4月1日には運用要領や提出書類一覧表も改定されています。
この状況から見ると、受入企業・登録支援機関が今確認すべきことは、次の4点です。
① 自社支援か、登録支援機関委託か
支援実施困難時の届出・報告ルールは、自社支援か全部委託かで実務の持ち方が変わります。誰がどこまで責任を持つかを曖昧にしないことが重要です。
② 面談・支援記録を月次で管理できているか
年1回提出に変わったからこそ、月ごと・四半期ごとに数字と記録を蓄積していないと、翌年の届出作成時に破綻します。これは受入企業側でも、登録支援機関側でも同じです。
③ 随時届出の判断基準を共有しているか
「就労開始が遅れている」「活動できない事情が1か月続いた」「支援実施が難しくなった」など、どのタイミングで届出が必要になるかを、担当者間で共有しておく必要があります。
④ 最新様式・最新運用要領を使っているか
制度ページでは運用要領、様式一覧、提出書類一覧表が複数回更新されています。古い雛形をそのまま使うと、不要な差戻しや再提出につながりかねません。
5. 行政書士に相談した方がよいケース
次のような場合は、早めに専門家へ相談した方が安全です。
- 自社支援の運用に不安がある
- 登録支援機関との役割分担が曖昧
- 面談や支援記録はあるが、届出様式へどう落とし込むか分からない
- 受入れ困難、支援実施困難、基準不適合に該当するか判断に迷う
- 2026年のオンライン定期届出対応をどう始めるべきか整理できていない
特定技能は、在留資格の取得よりも、受入れ後の運用で差が出る制度です。制度改正後は特に、届出・支援・面談・証憑管理を一体で整える必要があります。
まとめ
2025年4月から、特定技能制度では随時届出・定期届出のルールが大きく変わりました。定期届出は年1回になった一方で、面談は引き続き3か月に1回以上必要であり、随時届出の対象も広がっています。さらに2026年4月には、オンライン定期届出に関する案内や解説動画も公開され、運用面の実務整備がますます重要になっています。
受入企業・登録支援機関としては、
「届出頻度が減った」ではなく、「日常管理の精度が問われるようになった」
と理解しておくべきです。

