「技能実習制度がなくなるらしいが、うちの現場はどうなるのか?」 「新しい制度が始まる前に、今の実習生を特定技能に切り替えるべきか?」
2024年の法案成立から準備期間を経て、いよいよ令和9年(2027年)4月1日から、新たな外国人材の受入れ枠組みである「育成就労制度」がスタートします。出入国在留管理庁からは、2026年に入ってからも分野別の運用方針やガイドラインが次々と公表されており、制度の全貌が明確になってきました。
「まだ来年の話だから」と情報収集を後回しにしていると、いざという時に人材確保の波に乗り遅れるリスクがあります。
本記事では、久留米・筑後エリアで外国人雇用に取り組む企業様に向けて、育成就労制度の最新動向と「今、経営者が押さえておくべき実務上のポイント」を徹底解説します。
1. 育成就労制度の正体|「国際貢献」から「人材確保」への大転換
育成就労制度とは、これまでの「技能実習制度」を発展的に解消し、新たに導入される制度です。
最大の違いは、その**「目的」にあります。 技能実習が「発展途上国への技術移転(国際貢献)」を建前としていたのに対し、育成就労は「日本の深刻な人手不足分野における人材確保と、特定技能1号水準までの育成」**を真正面から目的に掲げています。
【特定技能との接続が前提】
企業にとって最も重要なのは、育成就労制度単体で考えるのではなく、**「育成就労(3年)で育てて、そのまま特定技能(最長5年〜無期限)へ繋げる」**という長期的なキャリアパスが前提になっている点です。
「3年で帰国してしまう実習生」から「長く自社で活躍してくれる中核人材」へ。これが新制度の狙いです。
2. 2026年現在、どこまで決まっているのか?
令和9年4月の運用開始に向け、2026年に入ってから国側の動きが一気に加速しています。
- 2026年1月: 特定技能及び育成就労制度の「分野別運用方針」が閣議決定
- 2026年2月: 入管庁より「育成就労制度運用要領」および解説動画が公開
- 2026年4月: 介護、外食業、建設、製造など各分野の「上乗せ基準告示」が順次追加
これにより、「どの業種で、どのような要件を満たせば受け入れられるのか」という具体的なルールが見えてきました。 ※なお、特定技能で対象となっている「航空」「自動車運送業」については、国内での育成になじまないとして、育成就労の対象分野からは外れています。
3. 企業に直結する「4つの大きな変更点」とリスク
技能実習から育成就労へ移行することで、現場の運用には以下の大きな変化が生じます。
① 「転籍(転職)」が一定要件で可能に
企業が最も懸念しているのがこの点です。これまでは原則不可だった本人意向の転籍が、「同一分野内」かつ「1〜2年の就労」などの一定要件を満たせば認められるようになります。 つまり、**「労働環境や待遇が悪いと、他社へ移られてしまうリスク」**が生まれるため、企業には「選ばれる職場づくり」が強く求められます。
② 入国前・就労中の「日本語能力」が必須に
就労開始前に「日本語能力A1相当以上」が求められ、さらに3年間の就労を通じて、特定技能1号へ移行するための試験合格(技能・日本語)を目指す必要があります。現場での技術指導だけでなく、語学学習のサポート体制も問われます。
③ 「監理団体」から「監理支援機関」への厳格化
技能実習をサポートしていた監理団体は、より厳格な許可基準を持つ「監理支援機関」へと生まれ変わります。悪質なブローカーを排除し、送出機関への高額手数料を防ぐ仕組み(二国間取決め等)が強化されます。
④ 「育成就労計画」の認定プロセス
受入れる外国人ごとに、育成目標や業務内容を定めた「育成就労計画」を作成し、国の認定を受ける必要があります。
4. 今いる「技能実習生」はどうなる?(経過措置)
現在、技能実習生を受け入れている企業様が最も気になるポイントですが、ご安心ください。いきなり制度が打ち切られるわけではありません。
- 令和9年4月1日より前に入国・就労している実習生: 引き続き、現在の技能実習計画の満了まで就労可能です。
- 施行前に帰国した実習生: 原則として、同じ「技能実習生」として再入国することはできなくなります(特定技能等での入国を検討することになります)。
5. 制度開始に向けて、企業が「今」やるべき3つの準備
まだ施行まで1年ある今の時期だからこそ、先行して取り組むべき準備があります。
- 自社の業種の「分野別基準」を確認する 自社の業務が育成就労のどの分野に該当し、どのような独自ルール(上乗せ基準など)が設定されているかを確認します。
- 特定技能への「ルート」を設計する 今後採用する人材を「特定技能の即戦力として直接採用する」のか、「育成就労でゼロから自社色に育てる」のか、採用戦略を再構築します。
- 外部パートナー(監理支援機関・行政書士)との連携 制度が複雑化する中、日常の監査・支援を担う「監理支援機関」と、法的な在留資格の手続きを担う「行政書士」の役割分担を明確にし、強固な受入れ体制を整えることが急務です。
まとめ:制度の過渡期を「人材確保のチャンス」に変える
育成就労制度の導入は、日本の外国人雇用ルールにおける過去最大のアップデートです。 ルールが変わるタイミングは、情報に乗り遅れるリスクがある一方で、いち早く適応した企業が優秀な人材を確保できる最大のチャンスでもあります。
「うちの会社は育成就労と特定技能、どちらに注力すべきか?」 「新しい制度に備えて、今の就業規則や雇用契約書を見直したい」
そうお考えの企業様は、制度が本格的にスタートして窓口が混み合う前に、実務のプロフェッショナルへご相談ください。
お問い合わせのご案内
久留米・筑後エリアで外国人材の受入れ(育成就労・特定技能)をご検討中の企業様、または制度移行に向けた法務対応にお悩みの監理支援機関様は、行政書士AIR法務事務所までお気軽にご相談ください。
最新の法改正情報を踏まえ、貴社のビジネスを止めないための安全かつ戦略的なビザ申請・法務サポートをご提供いたします。


